コスプレ撮影でCanon EOS R50を購入して後悔している人の話

Canon EOS R50は大変に良いミラーレス一眼カメラだ。ヨドバシカメラなどの売れ行きランキングでも好調だ。自分とは考えの合わない某インフルエンサー風景写真家も絶賛している。
しかしコスプレイヤーさんを撮影するコスプレ撮影においては、日本では購入後に公開している人が多い。今回はどうしてそのようなことになるのか、その理由を説明する。
初心者には扱いやすい大衆機
やっぱりCanonは素晴らしい。
ちゃんとユーザーニーズを押さえて、ユーザーの期待する商品を製品化してくれる。一般大衆が「こんなカメラがあると便利」というデジカメがCanon EOS R50だ。
ちなみに拙宅には、どこかに20年くらい前に購入したCanonのコンパクトデジタルカメラが眠っている。まだSDカードでなくてCFカードで、1200万画素のミラーレス一眼デジカメだ。つまり昔から、Canonはデジカメを開発してきた実績を持っている。
Canon R50はお手頃な価格で、本体重量は300g台だ。RF28mm F2.8というパンケーキ型レンズを装着すれば、カバンの中にもポケットの中にも入る。35mm判フィルム焦点距離48mm相当だから、今の時代にもマッチした商品だ。
(ちなみに一昔前は焦点距離35mmが人気で、Canon Kiss MとEF22mm F2.0パンケーキ型レンズの組み合わせが人気だった)
セット商品として販売されているCanon EOS R50に付属しているキットレンズも素晴らしい。
普通にカメラを楽しむならば、大変に良いカメラだ。ヨドバシカメラで売れ行き好調と聞いて納得している。
欠点1:フルサイズ機ではない
ただし残念ながらお手頃価格で軽量な大衆機であり、レンズの光を受け取るセンサー部分がフルサイズ機と呼ばれるカメラよりも小さい。小さなAPS-Cセンサーを搭載したAPS-C機と呼ばれている。これは同一レンズで写真を撮っても、撮影データの一部しか撮れないことを意味する。なにしろセンサーがフルサイズではないから、小さなセンサーに写った部分しか取り込むことができない。
ただし切り取った撮影データゆえに、同じピクセル数のJPEGデータを作成した際には、R50の方がアップした写真となる。センサーサイズの関係で1.6倍…… つまりRF50mm F/1.8レンズを装着して撮影すると、35mm判フィルム焦点距離80mm相当の撮影データが生成される。もはや望遠レンズに近い。
そして被写界深度も深くなる。つまりコスプレ撮影で期待される背景をボケさせる力は1.6倍に薄まってしまう。スタジオ撮影だったら小型センサーゆえのノイズ量程度で済むけれども、コスプレイヤーを強調して背景をボケさせて目立たなくさせたいコスプレイベント会場での撮影には向いていない。
だからプロはフルサイズ機を利用するし、アマチュアでも殆どがフルサイズ機を利用する。ニコンZ9を利用している者を数名知っているけれども、たしか本体だけで1.3kgか1.4kgだ。それだけ重くても、フルサイズ機を利用する価値があるということだ。
ちなみに自分も旧モデルになってしまったけれども、Canon EOS Rを利用している。軽量級の600g台だけれども、3000万画素数を超えている。
旧モデルとはいえ、やはりフルサイズ機はコスプレ撮影においては、ノーマルR50に対して圧倒的な優位性を得ることができる。
欠点2:最新機能ではない
R50は販売開始されてから2年以上が経過している。最新モデルではあるけれども、それほど最新機能は保有していない。お手頃APS-C機ということもあり、当時の最新技術でも採用しなかった機能も多い。
そしてこの2年間の間に、世界は大きく変わった。ChatGPTなどの生成AIが登場し、その応用技術は最新カメラにも組み込まれている。そういった最新機能は、R50には実装されていない。
もちろんAdobe Lightroom ClassicやAdobe Photoshopなどを使ってパソコン側で処理すれば良いけれども、特に『撮って出し』の写真データ作成機能や、オートフォーカス(AF)機能では改善期待したい部分が存在する。
欠点3:外部ストロボ利用に難あり
これは理由は問わない方が良さそうだが、ともかくCanon R50は従来型のホットシューは装備していない。だからGODOXなどのワイヤレスフラッシュトリガーなどは、そのままでは利用できない。Canon製ストロボの大半も、利用することが難しい。
自分も単三電池二本で使えるEL-100は重宝していたが、EL-5でないと対応していないとのことだ。
もちろん全く対策方法がない訳ではなく、他機能ホットシュー変換アダプターAD-E1を使えば、一般的な外付けストロボを利用可能だし、ワイヤレスフラッシュトリガーも利用可能だ。
ただしAD-E1は品薄で問題となっているし、AD-E1経由でクリップオンストロボとして外部ストロボを利用しようとすると安定感にかける。そしてそもそも、小型軽量を誇るR50にゴツくて巨大な外部ストロボはバランス的に今一つだ。
今ではセンサー性能が上がってストロボ利用の必要性も減ったので、一般用途だったら別に困らないあろう。しかしコスプレ撮影の場合に外部ストロボは必須だと言える。
そんな訳でCanon EOS R50はガイブストロボの利用に関して課題を抱えている。
欠点4:しょせんは大衆機
酷い表現をすると、「しょせんは大衆機」となる。もちろん多くのユーザーが利用する基本機能は充実しているけれども、例えばWIFI接続機能には難があると聞いている。これは技術者をやっていると分かるけれども、省電力機能というのは実装することが難しいのだ。
残念ながらこれはCanon固有の問題であり、富士フィルムだと全く困らない。しょせんCanon EOS R50は、開発コストや部品コストを節約するため、大衆が求める機能だけに絞った機能を実装している。
欠点5:レンズの選択肢がない
現在はCanon純正でもShigmaでもカメラレンズの選択肢が少ない。特に背景をとろけるようにボケさせるレンズは少ない。
昔からAPS-C機に絞った富士フィルムだと選択肢も多いが、フルサイズ機とAPS-C機の両方に手を出しているCanonには『レンズの選択肢が少ない』という問題点がある。
欠点6:コスプレイヤーから見て頼りない
カメラとカメラレンズというのは、コスプレイヤーの目に映る機材だ。
先程のように本体だけで1.3kgを超えるような本格機材を駆使するコスプレ撮影者と比較して、300g台の本体であるCanon EOS R50はコスプレイヤーにどのように見えているのだろうか。
もちろん知り合いで事情がわかっていれば違うだろうけれども、特に初見のコスプレイヤーへ与える影響度は異なりそうだ。初心者コスプレイヤーならば大丈夫かもしれないが、外観というのも重要なコスプレ撮影者のPRポイントだ。
まとめ:カメラを趣味にするなら良いカメラ
以上の通りでCanon EOS R50は、一般的にカメラを趣味として楽しむのであれば、実にお手頃価格で購入できる逸品だ。重さも軽い。
しかし本格的なコスプレ撮影をする場合には、役不足であると言わざるを得ない。少なくともCanonマルチアクセサリーシューアダプターAD-E1を購入することは必要だろう。
ちなみに自分の場合は予備用として利用しているし、何よりマニュアルフォーカスのレンズを使うことが得意だ。だからCanon EOS R50であっても、並みのアマチュア撮影者だったら『ジャイアントキリング』することができる。
(あまり上品な表現ではないけれども、Canon EOS R50をフル活用できれば、大抵のフルサイズ機とは互角に利用することが可能だ)
こちらは小学生の頃からマニュアルフォーカスレンズのミラーあり一眼レフカメラを使ってきた『熟練の老カメラ撮影者』だ。予備機としても役立つし、Canon EOS R50を購入したことは全く後悔していない。
しかしコスプレ撮影でCanon EOS R50を購入して後悔している者は、けっこう多い…… 殆どの者が公開していたりする。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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小野正樹
P.S.
Canon EOS R50とRF50mm F1.8 STMレンズの組み合わせは、初心者には大変に使いやすくて良い。コミケやアコスタ池袋には参加せず、地方の広々とした公園で開催されるコスプレイベントにしか参加しない者や、イベント環境の異なる台湾・韓国の人々は大いに満足していると聞いている。


