コスプレ撮影の初心者にお勧めのストロボ

コスプレ撮影を始めると、ミラーレス一眼カメラが欲しくなる。そしてミラーレス一眼カメラを使い始めると、カメラに内蔵されたストロボでは満足できなくなる。

最初に欲しくなるのはクリップオンストロボという、カメラ本体の上部(ホットシュー)に接続する外部ストロボだ。それに慣れると、今度はストロボをライトスタンドなどに装着して、カメラ本体から遠隔操作したくなる。

今回は、そんなコスプレ撮影の初心者向けに、超ベテランも利用している『オススメなストロボ』であるTT560などを紹介する。ちなみにTT560でなくて構わないけれども、選択ポイントは『乾電池で動作』であるか『専用バッテリーで動作』と、バッテリーが空になるまでに何回くらい発光できるかという点が重要である。

なぜなら、どんなに頑張っても単三電池四本では専用バッテリーの出力には及ばないし、発行可能な回数が少ないほど一発当たりの消費電力……発光量は多くなるからだ。

(物理学におけるエネルギー保存の法則を、コスプレ撮影者も無視できないという訳だ)

初心者向けワナ:ガイドナンバー

「とりあえずストロボ」と考えると、さていったいどうやって選べば良いかと悩んでしまう。そんな時に役立つのがガイドナンバー……ではない。

「Canon EL-430 EXIIは照射角35mm時のGNが31、80mm時に40、105mm時に43です。SB600は35mm時にGN30ですから、殆ど同じですね」とのことだ。

つまり、「ガイドナンバー = ストロボの発光量」ではないということだ。ガイドナンバーとは、「あらかじめ設定した場所にどれだけの光を届けることができるか」である。

冒頭でコメントしたように、エネルギー保存の法則はストロボにだって通用するのだ。単三電池四本で生み出せるエネルギーは決まっている。もちろんスマホ充電のように、「溜めることができるだけ溜めてからストロボ発光」とすれば、それなりに光量は多くなる。

しかし充電式の大型バッテリーのストロボと、単三電池四本のストロボが、満充電状態から百回だけフルパワー発光することが可能な製品仕様だと仮定しよう。その場合には、あきらかに大型バッテリーの方が発光量は大きい。おじさん世代だと体感3倍と言いたいところだが、実際には2倍くらいだろうか。

もちろんストロボの出力を調整して、発光量を減らすことは可能だ。だから予算に余裕のある場合、GODOX AD100あたりが初心者向けのオススメとなる。

我々が注意すべきは、充電バッテリーの容量なのだ。ガイドナンバーは、あくまで指向性の光を目的地まで届ける能力を示す指標に過ぎない。

GODOX TT520

さてGODOXはコストパフォーマンス……コスパが高いと評判である。そしてTT520に至っては遠隔操作することが可能で、コントローラーまで付属している。出力的には単三電池四本クラスだけれども、そんなに悪くなさそうだ。

しかしこれ、商品説明をじっくりと読むと購入意欲が消えてしまう。なぜならコントローラー側は解体しないと電池交換できない。そして使用されている電池は単二三という特殊タイプだ。もしも電池切れになっても、近くのコンビニへ走っても購入できない。

おまけに遠隔操作はFC-16タイプでなくてAT-16タイプとなる。FC-16でもメーカーが異なれば利用できないのに、特殊AT-16タイプというのはツラい。GODOXで一般的なXタイプではないので、ストロボ2台で二灯構成を組むことができない。

昨今のアコスタ池袋などでは二灯構成を当たり前のように見かける一方、二灯構成への批判も多い。しかしいざスタジオ撮影などで二灯構成を考えた場合、同じGODOX TT520を購入する必要があるというのは悩ましい。余ったコントローラーの分だけ、コスト的に高くついてしまう。

そんな訳で個人的には、GODOX TT520はオススメではない。

NEEWER TT560

一方でNEEWER TT560はお勧めだ。知り合いの超ベテランカメラマンが利用しているし、自分も利用している。TTL撮影はできないけれども、ともかく安い。こう言っては何だけれども、「まずはお試し」として購入できる…… できた。

以前は安かったけれども、2025年12月9日時点では値上がりしてしまっているようだ。とりあえず販売元/出荷元がAmazonなので、その点は頼もしいと言って良いだろう。

ちなみに冒頭画像はニコンのSB-600とNEEWER TT560だけれども、遠隔操作機能を装備していないのに大きい。ただし電池抜きでは『実量:286g』と相当に軽い。おまけにバウンスカードも内蔵しており、SB-600と同じく光拡散用の透明板が内蔵されている。

だからアコスタ池袋というかサンシャインシティのAホールで天井バウンスさせる場合には、バウンスカードで発光方向を調整したりすれば、単三電池四本のストロボであっても実用的に利用できる。ちなみに単三電池四本という出力不足は、ストロボを二つ持ち歩ければ補完可能だ。

そもそも自分の少ない経験則だと、日中でも1/1出力にすれば、NEEWER TT560一台でも何とかなる。もちろんソフトボックスとかアンブレラといった本格機器でストロボ光を拡散させる場合には単三電池ストロボでは役不足だけれども、いきなり初心者がソフトボックスやアンブレラを利用するのは難しい。

(それにコスプレイベントの撮影会では、プロのコスプレカメラマンでも冒頭画像のようなドーム型デフューザーくらいしか持参しないのが一般的だ)

もちろん1/1という最大出力だと、約100回が発光限界となる。しかし今のところエネループを利用してバッテリー切れで困ったことはない。それに約100回しかフル出力で発光できないということは、それなりに強力な発光能力を保有していることを意味する。

もちろん遠隔操作にはリモコン装置(ワイヤレスフラッシュトリガー)が必要だ。ちなみにTTL機能を使用しないので、どこのメーカー向けのリモコン装置であるかは気にしていない。

そもそも機器本体は、どこのメーカーであっても同一製品が利用されている。違っているのはカメラと有線接続するような場合の接続ケーブル部分だけだ。(だからGODOXのFC-16ワイヤレスフラッシュトリガーはNikon向けを購入し、Canon製カメラやSony製カメラで使用している)

自分の場合は、必要に応じて上記GODOX FC-16とNEEWER GC-16を使い分けている。これらも1つの送受信機あたり単四電池2本を必要とするけれども、逆にいえばコンビニ調達が可能だ。充電バッテリー方式のように、「バッテリーを使い切って文鎮化」ということはない。

そんな訳でTTLには対応していないけれども、基本的な必要昨日は一通り備えている。初心者にはお勧めのストロボだと言える。

GODOX TT685II-C

こちらはストロボ初めての知人が購入したものだけれども、悪くはない選択肢だと思っている。ワイヤレスフラッシュトリガーの受信機を内蔵している点が羨ましい。TTL発光にも対応している。

足りないのは単三電池四本で利用するため、フラッシュとしての光量が今一つな点くらいだろうか。予算があれば、ぜひ購入したい一台だ。

なお注意点としては、暑くて日光の当たる場所での使用には注意する点だ。半年くらい前に某Iプロ(この人もコスプレカメラマン)が、カメラの上に装備していたコントローラ装置が逝ってしまったと嘆いていた。もしかしたら送信能力が強力な分、発熱量も多いのかもしれない。

(コンピューター技術者は発熱との闘いだけれども、まさかカメラの世界でも同じような状況に遭遇する……らしいとは予想していなかった)

まとめ:ともかく使ってみる

以上の通りで、実際にネット通販の商品紹介ページなども参照していただくとお分かりのように、やはりNEEWR TT560は便利でオススメだ。

もちろん予算が豊富にあればメーカー純正品がお勧めとなるし、そうでなくてもプロカメラマン利用のGODOX AD100やGODOX AD200は魅力的だ。充電バッテリー方式だし、出力に余裕があれば、心にも余裕ができる。

なおどうして自分がTTL撮影しないかというと、タイミングの取り方が難しいからだ。それに日頃からカメラ任せにせずにマニュアルモード(Mモード)で撮影しているから、そもそもTTL撮影をする必要性も全くない。

ここら辺は実際に使ってみて、少しずつ経験値を蓄えていくのが良いだろう。そういう意味でも、最近は中国製で手ごろな性能と価格を実現したストロボを選べることは嬉しいことだ。ともかく使って経験値を上げて、少しずつスペックアップしていくのが望ましい。

その点でカメラ本体は高額なので、最初からフルサイズ機/APS-C機のどちらにするか等を決める必要がある。こちらはまた別な機会に解説することにしたい。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野正樹