【名探偵の敗北?】エプロンを購入した真の理由

かわいいフリル付きエプロン

さて前に紹介したように、僕は “母親のことを気遣う子供” のためにエプロンを購入した… つもりだった。

しかしこれ、名探偵の推理は見事に外れていた。「悔しくて悔しくて、夜しか眠れない」というところである。

一体何がどうなっていたのかを紹介させて頂くことにしたい。

まず前回の話はコチラである。子供が学校の英語劇でエプロンが必要になるということで、“かわいいフリル付きエプロン(メイド用)” を購入した。

そういえば関係ないけれども、別チームになった子供のご学友は、「くたびれたロバ」を演じることになっているとのことだ。ブレーメンの音楽隊だろうか。いずれにせよ最近の中学校では、随分と英語授業も楽しくなっているらしい。

ところで話をエプロンに戻すと、気になることがあった。Amazonで注文したけれども、ブラックフライデーの影響なのか、配送予定日が12月3日となっていた。そして昨日11月30日に確認したところ、英語劇は12月2日が本番とのことだった。

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それだけではない。エプロンが届いたのは予定日よりも前倒しされて11月30日だったけれども、それまではFさんからエプロンを借りて練習しているとのことだった。どうしてエプロンがあるのに、さらにエプロンを購入したのだろうか。

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「仮説は実証されて初めて真実になる」という名セリフの通りで、子供のために頑張っているから疲労困憊している母親を気遣って自前調達しているという仮説は、完全に見当はずれだったのだろうか。

もしかすると食事の際に、「服が汚れるからタオルでエプロンして!」が気に入らず、エプロンを付けて食事をしたいと考えたりしたのだろうか。それとも趣味のイラストから進化して、”推し” のプラモなどを作って塗装するための作業用エプロンが欲しくなったのだろうか?

(メイド用エプロンで塗装… これも一種の作業着と言えるだろうか?)

もしくは僕の推理は外れておらず、英語劇の本番日が前倒しされたということだろうか。

(そうだとしても、既に存在するエプロンの謎は残ったままだ)

僕が迷探偵でなくて名探偵だったとしても、これだけではデータ不足である。ジグゾーパズルを完成させるには、欠けているピースを探し出す必要がある。

仕方がないので、僕は “名探偵のプライド” を捨て去ることにした。と、いうか、そもそもプライドは子供の頃に、近所の小川に捨ててしまっている。

あっさり降参して、素直に子供に尋ねてみた。
「そういやエプロンで気になったことがあるけど、尋ねても構わないかな」
「エプロンが何?」
「英語劇の本番日って、前倒しになっていたりする?」
「うん、前倒しされたよ。最初は12月5日の予定だったけど、12月2日になったんだ」

一つ目の謎は、拍子抜けするほど簡単に解決した。

しかし… そうすると既に存在するエプロンのことが気になる。どうしてわざわざ、新しくエプロンを購入することにしたのだろうか。

「なるほど、エプロンが本番に間に合って良かった。しかし既にエプロンを着て練習しているんだったら、わざわざエプロンを買う必要はあったのかい?」
「あ、それはね、Aがフリル付きエプロンを強く希望していたからだよ」
「Aさんって、たしか新型コロナに感染して休んでいるんだよね?」
「そうだよ」
「どうしてAさんがフリル付きエプロンを強く希望したんだい?」
「それはね、Aが私の雇い主という設定だからだよ」
「ふーむ… そして君はメイドか」
「うん」

少しずつ全体像が見えて来た。とりあえず子供が母親を気遣ったという証拠は無いけれども、”かわいいフリル付きエプロン(メイド用)” を意図的に購入しようと考えたのは確からしい。

すると残るは…
「英語劇は録画されるのかな?」
「されるよ。今はオンラインで授業に出ることも出来るよ」
「そりゃすごい。先生たちは授業のたびにカメラをオンにしたり、オフにしたりするのか」
「いや、今はChromebookのカメラを使っているから、解像度は悪いよ」
「へえー」
やはり僕の新しく思いついた仮説は、間違っていないらしい。
「つまり君、もしくは君たちは、新型コロナに感染して学校を休んでいるAさんのために、わざわざフリル付きエプロンにしようと考えたのか」
「そういうこと!」

そう言うと、子供はメロンパンを縦切りにして、オーブントースターへと放り込んだのだった。

二つ目の推理は、ビンゴ!である。
えへへ。

残念ながら母親を気遣ってエプロンを自分で探して来たというのは微妙 -- フリル付きエプロンを母親に相談するのは辛いし -- だけれども、あながち僕の推理(仮説)も的外れではなかったらしい。

あとは僕の財布で調達した “かわいいフリル付きエプロン” を、超絶的にかわいい我が家のお嬢さまが着こなして、それをAさんがお気に召してくれることを期待するばかりである。

そんな訳でエプロン事件は、無事にめでたく… かは分からないけれども、ともかく一件落着したのだった。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静