文房具

鉛筆/ボールペン/万年筆の書き込み角度やインクの話

昔読んだJeffery Deaverの推理小説では、筆跡を頼りに事件を解決する名探偵(Parker Kincaid)がいました。

たしかに筆跡というのは、人それぞれです。そして筆記具の使い方も、人それぞれです。

とはいえ、筆記具には基本となる使い方があります。今回は鉛筆/ボールペン/万年筆の基本的な使い方と、職場などで頻繁に見かけるインクを紹介したいと思います。

鉛筆

まずは小学生の時からお世話になっている鉛筆の使い方です。

鉛筆の正しい持ち方(日本筆記具工業会)

塗り潰しをするような場合、紙面と平行に近い角度で使うことも可能です。逆に習字の筆のように直角も可能です。

しかし鉛筆は黒鉛と粘土で作られた芯を使っています。その性質と日本語の文字を考えると、傾けて使うのが効果的です。

日本筆記具工業会によると、紙(机など)に対して50-60度くらいが適するとのことです。また体の真正面でなく、20度くらい傾けて使うのが良いとのことです。

私も物心がついた頃から、上記と同じような角度で使っています。米国の映画がTVドラマの鉛筆シーンでも、同じように使っています。(映画ダビンチ・コードとかTVドラマNCISとか、けっこう多いのに驚きます)

ちなみに残念ながら我が家のお嬢様は小学校五年生ですが、私のように鉛筆を使うことが出来ません。学校からは配布された補助具や市販品を使ってみましたが、それでも正しい持ち方が出来ません。

正しい持ち方が出来ないことが原因なのか、少し書き疲れると筆跡が乱れます。算数のプリントでも、間違ったり完答出来ていない箇所は乱れがちのようです。

私から見ると変な持ち方で疲れると思うのですけど、本人は気にならないようです。だから補助具を付けた時のように持てないのですが、原因が良く分かりません。なかなか悩ましいです。

最近では補助具を付けることを恥ずかしがるのですが、そのうち良くなってくれることを祈るばかりです。

そういえば私の場合、筆記具は指先、手首、肘の動きで書くことが出来ます。自分からみると、基本的には肘の動きが中心で、手首と指先も少々動かしているようです。芯の固さ(HB等)や太さによって動きが変わることは無いようです。

万年筆

お次は万年筆です。

万年筆の使い方(日本筆記具工業会)

日本筆記具工業会の図だと、だいたい50度くらいに見えます。私も同じ角度と持ち方をしています。それからこれも図と同じく、体の正面と平行になるようにペン先の角度を調整します。

これは万年筆のペン先(ニブ)の形状を考えると、自然とそのようになります。もっとも紙面との抵抗がないように扱おうとすると、自然と持ち方が正しくなって来ます。

ただし万年筆屋さんによると、人それぞれにクセがあるのだそうです。私も正しい範疇には分類されるものの、必ずしも理想的な状態では使っていないかもしれません。

そう弱気になるのも、先日はペリカンのスーベレーンM400万年筆を半日ほど使い続けていたところ、手首と肘の中間あたりに疲労感が生じてしまったからです。(このあたりから判断しても、私は基本的に肘を大きく動かすタイプのようです)

ちなみにその時に書き込んでいたノートは、KOKUYOのCampus方眼ノートです。これはボールペンだと、きめ細かな紙質のためにペン先が滑り過ぎて困る程です。

それが万年筆だと滑り過ぎる現象は生じなくなり、逆に疲労まで発生してしまう。(ちなみにこの時はパイロットのカートリッジ型にも収納されているインクでした)

筆記具は、紙とインクと利用者の組み合わせによって使い心地が決まります。シンプルだけれども考慮要素が4者もいるので、なかなか奥深い世界が展開されることになります。

ボールペン

さて最近50年間で、最も技術革新の影響を受けたのがボールペンです。

ボールペンの適正角度って?(日本筆記具工業会)

上記リンクに記述されているように、ボールペンは60-90度が適切な角度だとされています。これは本記事の冒頭画像のように、ボールと台座の形状を考えると納得できます。

これは確かにその通りです。かつて私はクロスのボールペンで苦労しましたが、その原因は「50度くらいの角度でボールペンを使っていた」でした。

しかし最近は、相当融通が利くようになっています。タンクやインクが進化しています。

まず昔のボールペンは横向きや上向きで書くことが出来ませんでしたが、今では加圧式タンクを採用した替芯が登場しています。

NASAやスミソニアン博物館でお土産に購入できるスペースペンや、三菱鉛筆のパワータンク等です。どちらもインクが圧力で出てくるので、いろいろな姿勢や紙質に対応可能だと評判です。

(ちなみにスペースペンはネットで購入することも可能です)

そしてインクも進化しました。油性インクだと、エス・テー・デュポンのイージーフローや、三菱鉛筆ジェットストリームのような低粘度インクが登場しています。

これらは一般的な油性インクよりも、粘度が30-40%低くなっています。筆圧をかけずに書くことが出来ると評判です。

いずれもパーカー互換芯(G2芯)のタンクが販売されており、幅広いボールペンで利用可能です。そして特にジェットストリームは、0.38mm、0.5mm、0.7mm、1.0mmと豊富なボール径が提供されています。カラーも豊富です。

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昔から油性ボールペンだと、モンブランのジャイアント・リフィル(替芯)やカランダッシュのゴリアット(Goliath)芯が、60度以下の浅い角度でも書き心地が良いと評判でした。それがさらに、使い心地良くなっています。

一方で職場で見かける数百円の多色ボールペンも健在です。先日は病院でサインする時にBicの多色ボールペンを渡されましたが、モンブラン並みの書き心地の良さに脱帽しました。

(ちなみに我が家にも一本存在しました。奥様が1x年前に病院事務員だった頃に使用していたものでしょうか?)

Bic多色ボールペンのWebサイト

そして “油性でないインク” も進化しています。昔は水性ボールペンでしたが、最近ではゲル(ジェル)インクに進化しています。

ゲル(ジェル)インクは顔料を使用しており、にじみが無くなっている点が高く評価されています。耐水性も良好です。

三菱鉛筆お客様相談室:油性・水性・ゲル

ちなみにオバマ第44代米国大統領とトランプ第45代米国大統領が、クロスのジェルインクを使用して書類へサインしています。トランプ氏の場合は、メモを取ったりするのにジェルインクではなくてポーラス芯を使っています。

ポーラス芯とは、サインペンのように太い文字で書ける芯です。これをA5サイズくらいのメモ用紙に大きな文字で書き込むので、TVでも相変わらずポーラス芯を利用中だと分かります。

それどころか、先日はメモの内容を記者に読まれてしまいました。声明とは異なる内容だったことで物議を醸したので、ご存知の方も多いかもしれません。

そして上記の件とは全く関係ないと思いますが、クロスのWebサイトでは「※細字/0.5mmボール径は2019年11月発売予定です 」との記述が存在します。(2019年11月27日時点)

クロス:インク&リフィル

まとめ

極論すると紙に文字や絵を描くためのツールに過ぎないのですが、本当に筆記具というのは奥が深いです。

今回は基本的な書き方と代表的なインクだけを紹介しましたが、現在の日本で選択可能なパターンを考えると目が眩んで来ます。

最近はスマホやPCの普及によって筆記具の出番が減少傾向にありますが、選択肢は豊富になっています。

これらが今後さらに普及するだろう音声入出力やAR/VRと、どのように関係していくでしょうか。我が家のお嬢さんが私くらいの年齢になった時を想像しようとしても、イメージを持つことが出来ません。

今の私の手元には42年前のクロスのクラシックセンチュリー(インクもまだ使えます!)がありますが、果たして50年後も無事に存在しているでしょうか。

それはさておき、筆記具というのは人間の作業を支援するための道具に過ぎません。あまりムズカシク考えず、ともかく使うことを楽しむのが一番であるかもしれません。

それでは今日はこの辺で。ではまた。

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記事作成:四葉静